土地評価とは、公共用地の取得(道路・河川・空港・ダム等)に伴う、土地の適正な補償額の算定をする業務です。
作業手順
土地評価業務の流れ
- 取得対象地域(起業地)の概要等の把握
- 用地計画図(平面図)、公図、登記簿調査表等の提示資料による。
- 現地踏査・資料収集
- 用途的な観点により、取得対象地域を含む比較的広範囲を踏査する。
- 地域区分に必要な資料の収集。(都市計画図、通学区域図等)
- 同一状況地域区分・標準地の選定
- 地勢および地盤、道路、鉄道、河川、水路および公園、街区および集落、土地利用の状況、市町村、大字、字等の境界、都市計画法の地域地区等、駅勢圏および通学区域等の地域的特性に配意する。
- 最有効使用からみて、最も標準的な画地(標準地)を選定する。
- 標準地を評価する
- 取引事例比較法により求めた価格を基準として、収益還元法又は原価法により求めた価格を参考として求める。
- 取引事例については、必要に応じ事情補正、時点修正、建付減価補正、標準化補正を適正に行い、比準表を用いた地域間の格差を加え評価格を求める。
- 標準地の評価格から比準して各画地を評価する
- 標準地と評価(取得)対象地の個別格差率を比準表を用いて求め、評価格を算定する。
- 残地を評価する
- 評価(取得)対象地の残地に関して、価格の低下、利用価値の減少等の損失が生ずる時は補償額を算定する。
具体的な作業
ある住宅団地の中で一番標準的な土地を選定し、その土地の評価格(標準地価格)を算定します。その土地と比べて他の土地の優劣(角地等の格差)を判定し評価格に乗ずれば、住宅団地の全ての土地について評価格が算定される仕組みです。
土地評価という言葉を初めて聞いた方のために、同一状況地域の区分について簡単に説明します。
同一状況地域の区分について
市街化調整区域に指定された市街地からやや離れた地域(住宅・山林・水田が混在)において、公共事業により3ha程度が面的に取得される場合、取得対象地域について、土地の用途的な観点から区分すると、
- 住宅
- 宅地地域中の住宅地域(優良住宅・標準住宅・混在住宅・農家集落・別荘)の定義に基づき農家集落地域とする。
-
※農家集落地域とは、農家等で集落を形成している地域又は市街地的形態を形成するに至らない戸建住宅地域。
- 山林
- 林地地域(都市近郊林地・農村林地・林業本場林地・山村奥地林地)の定義に基づき農村林地地域とする。
-
※農村林地地域とは、農家集落の周辺にある地域で、いわゆる「さとやま」と呼ばれ、一般に農業を主に林業を兼業している農家の多い地域。
- 農地
- 農地地域(田地・畑地)の定義に基づき田地地域とする。
-
※田地地域とは、大部分の土地が水田として利用されている地域。
上記の3地域で区分けが可能となるでしょう。
その他、同一状況地域区分の場合の留意事項としまして、下記の土地評価事務処理要領第6条が明記されております。
- 地勢および地盤
- 道路、鉄道、河川、水路および公園
- 街区および集落
- 土地利用の状況
- 市町村、大字、字等の境界
- 都市計画法の地域地区等
- 駅勢圏および通学区域
よって、現地踏査等実作業を行った場合には、上記の3地域より細分化される事もあるでしょう。
現地踏査後に図面上でこのような作業を行う事を「同一状況地域の区分」と言いますが、簡単には「同じような利用状況を呈した土地のまとまりを囲む」と言う事でしょうか。
標準地の選定
同一状況地域の区分が終わったら標準地の選定となる訳ですが、標準地の選定方法について土地評価事務処理要領によれば、
- 第7条標準地は、同一状況地域において個別的要因が概ね標準的と認められる一の画地とするものとする。
- 前項の個別的要因は、「国土利用計画法の施行に伴う土地価格の評価等について」(昭和50年50国土地第4号国土庁土地局地価調査課長通達)別添1土地価格比準表、別添3林地価格比準表および別添4農地価格比準表の用途的地域ごとの個別的要因とするものとする。
と記載されています。
他に留意事項として、
- 良識と通常の使用能力を持つ人が採用するであろうと考えられる使用方法である事。
- 使用収益が将来相当の期間にわたって持続し得る使用方法である事。
- 効用を十分に発揮し得る時点が予測し得ない将来でない事。
言い換えれば、「同一状況地域の中において、使用方法および個別的要因が最も標準的な一画地を選定する。」事である。
用途的地域に当てはめて例示するならば、住宅地域(標準住宅地域)の使用方法は居宅であり、地積約100~300m2の街路よりある程度高い中間画地(一方が街路に接面する画地を言う。)となる。
- 商業地域(郊外路線商業地域)
- 使用方法は店舗・営業所等であり、地積は一概に言えないが駐車場があれば規模は大きく、角地・二方路等が標準となる場合もある。
- 工業地域(大工場地域)
- 使用方法は工場であり、地積約30,000m2程度で角地・二方路・三方路等が標準となる場合もある。
- 農地地域(田地地域)
- 使用方法は水田であり、土地改良施行地であれば地積約1,000m2前後の中間画地(一方が街路に接面する画地を言う。)となる。
- 林地地域(山村奥地林地地域)
- 使用方法は山林であり、地積はさまざまであり無道路地が標準となる場合もある。
- 見込地地域
- 省略となる。
上記はあくまでも参考であり、実作業における標準地の選定にあたっては、同一状況地域の現地踏査を十分に行った上、その地域の中で使用方法および個別的要因が最も標準的な一画地を選定する事はいうまでもない。