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平成17年度の主な鑑定評価の実績

継続賃料
平成17年5月

同一目的で継続中の賃貸借契約における現行の家賃を改定するための鑑定評価。

建物を賃貸借契約により定められた用法にしたがって使用収益するにすぎない賃借人にとって、土地価格の変動があっても実質的な効用の増減はないため、一般に、用益の対価である賃料と土地価格との相関関係は希薄である。これに対し、現に使用する建物の経済価値の上昇もしくは低下は、賃借人にとって実質的な効用の増減となるため、賃料の額に影響を与える。この事案では、(用途は診療所であるが)、建物の増築による増床に伴い、その後の収益の増加を見越して賃料を増額改定するなど、更新の都度、建物価格の変化に即して賃料を改定してきた経緯があり、賃料の推移を元本価格(ただし、土地価格の変動の影響は捨象する)に対する利回りの推移として把握する事で、当事者の意思に合致した適正な賃料を求める事が可能で、利回り法が極めて効果的に機能した。

更地
平成17年5月

地中に産業廃棄物が存置されている土地の適正な価格を求めるもの。

地中に存置する産業廃棄物が確実に処理されて初めて、更地としての経済価値を有する土地となる事から、当該産業廃棄物処理に要する費用相当額を更地価格から控除した額が、当該土地の評価額となる。このように、産業廃棄物処理費用が評価額を左右するので、その適正な見積りが決め手となった事案である。

更地
平成17年6月

住宅地域内の大規模地であり、典型的な需要者は不動産業者等となるが、公道から4m程度高い位置に敷地があり、戸建分譲を目的として敷地内に通路を開設しようにも、縦断勾配12%以下という位置指定道路の要件を満たさない(道路法ではさらに厳しく縦断勾配9%以下であるため、仮に道路を開設したとしても市道の要件を満たさず、市に寄付する事も出来ない)ため、戸建分譲を前提とした開発許可のおりる余地がない特殊な画地。法令(市の条例を含む)上共同住宅の建築を目的とした開発行為は可能であるが、もとより接道条件が劣る事に加え、この場合、擁壁の設置が義務付けられるなど、土地利用上の制約が多く、第三者があえて取得を希望する土地ではなく、このような土地の市場価値をどのように把握するかが焦点となった事案。

使用借権の評価
平成17年8月

使用借権は、その性質上、貸主・借主双方の間でのみ成立するもので、使用料のような対価を伴わない事から譲渡性がなく、その市場価格はゼロとする事が妥当である。しかしながら、公共事業により、継続中の使用貸借が当事者の意思とは関係なく消滅させられる場合には、使用借人が将来一定の期間に渡り使用収益する事が出来たはずの利益を逸失させる事になり、相応の補償が必要となる。公共用地の取得に伴う損失補償基準では、これを踏まえ、使用貸借による権利についても補償する旨明記されているが、当該事案は、この場合の使用貸借による権利の適正な価格を求めるものである。
(なお、公共用地の取得に伴う損失補償基準細則では、使用貸借による権利に対する補償は、賃借権の3分の1程度としているが、不動産の用途、返還の時期等により権利価格は異なるため、当該3分の1程度が適切であるか、そもそも賃借権の価格が如何ほどであるかについては、個別に検討する必要がある。)

採石場の評価
平成17年9月

採石業者および山林の利用目的としてこれと同質性が認められる鉱山業者等が取得した取引価格(すなわち、採石場等の素地価格)に造成費等の初期投資額を加算し、あわせて、鉱業権の補償において通常用いられるホスコルド式による収益還元法に基づく価格を比較考量して決定した。

無道路地の評価
平成18年2月

市街化区域内にあって、前面道路が幅員狭小な私道であって当該道路が建築基準法第42条の道路に該当せず、このため同法第43条の接道義務を満たさない土地、すなわち、無道路地の評価。公道に接続する取付道路の取得を想定した場合、公道までの距離が長く、取得費用の方が高くつくため算数としてはマイナスになるが、少なくとも農地等としての使用は可能であり、評価額がゼロを下回る事はあり得ない。結局、農地としての使用が最有効使用である事に着目し、同様に、法令上もしくはその土地の性格からみて、客観的に宅地としての用途が想定されない土地の取引価格を基礎に評価額を決定した。