概要
公有水面の埋立事業に伴い、その影響が懸念される漁業協同組合の漁業について、漁業権等の内容、漁業の実態を調査し、漁場の減少等による漁獲量の減少等の影響を把握し、漁業補償の算定を行ったものである。
漁業協同組合の漁業区域内
対象魚
組合員が漁獲する魚種
対象漁場
- 免許漁業
- 協同漁業権
- 区画漁業権
- 許可漁業
- 自由漁業
公有水面埋立事業により影響を受ける区域を影響の形態別に分類すると、
- A区域
- 埋立事業施行区域で、事業により水面が陸地となる区域。
- B区域
- 埋立区域の外周30mの区域。埋立地外周は護岸法面に30mを確保するため、漁場としての機能を失う区域。
- C区域
- 埋立事業施工期間中、作業船の運航等作業に必要な範囲の水域については漁労制限をする必要があるため、一定期間漁場としての機能を失う区域。施工期間およびその内容つについては、期間が5年。範囲が埋立区域外周より200m。
- D区域
- その他の区域。A~C区域の影響により産卵・稚魚育成等に被害を受け、漁場そのものの喪失はないものの、漁場価値減少が認められる区域。
埋立事業が及ぼす影響
埋立区域
- 工事中
- 操業がほとんど不能
- 竣功後
- 操業不能(水質)
※漁業補償協定において「工事に支障がない範囲内で操業を認める」との特約をするのが通例である。
周辺水域
- 工事中
- 水質の汚濁
- 土運船の運行、工作物の設置棟による操業上の制約
- 竣功後
- 原状回復までの汚濁
- 海底への「ヘドロ」沈澱
- 漁場の消滅によって産卵場、稚魚育成場喪失による再生産上の被害
- 築堤等による地形並びに流計、流速の変化
- 一部の淡水化、水温の変化による減収
- 千拓のため濁流を生じた水域における「BOD」「COD」の増大
※一般に埋立水域は浅瀬が多く、産卵稚魚育成の適地となっている。
※水質の汚濁は有毒物質の混入ではなく、海底土砂の攪拌と排泥による細粒等の周辺水域における浮遊である。
水揚量の実態
漁業による水揚げ実態としては、3つのパターンがある。
- 漁獲した魚介類を漁協管轄の魚市場へ
- 漁獲高に対し3%の手数料を漁協に支払う事となっており、正確な漁獲量および漁獲高が把握可能である。
- 釣船遊漁船による水揚げ
- 釣船遊漁に対する漁協の規定では釣船遊漁による水揚げ量に対し3%を漁協に支払い、漁協ではこれを基にその時期に対応した漁獲量として加算し、漁協全体の漁獲量として集計している。
- ただし、実態としては釣船遊漁の水揚げは、各漁民の自主申請となっている事から、約30~40%程度も申告漏れとなっているのが実情である。
- 自家消費および民宿旅館等への直販
- 捕獲した魚介類のルートの1つとして自家消費と民宿等への直販がある。
当該水面は、名古屋から至近の距離に位置し、海水浴、みかん狩、釣り客、遊覧客等の観光客もおり、観光客への直販や民宿・旅館・料理店等への出荷が多い。
この場合、漁協管轄の魚市場を通していない事から正確な漁獲量の把握は困難である。漁協での推定では、漁協が集計している漁獲量の30~40%程度と見込んでいる。