鉱泉権井戸

鉱泉

定義

まず、鉱泉と一般に呼称されているものについて冷鉱泉と呼ばれている。これに対して実務上鉱泉とは、いわゆる鉱泉および温泉を含む広い概念である。

また、温泉と一般に呼称されているものは、泉温により各々低温泉(25℃以上34℃未満)、温泉(34℃以上42℃未満)、高温泉(42℃以上)に分類される。

鉱泉(広義)
鉱泉(狭義)→冷温泉→25℃未満
温泉
低温泉…25℃以上34℃未満
温泉…34℃以上42℃未満
高温泉…42℃以上

権利

物権性について

民法175条が規定する物権ではない。特別法上(例えば温泉法)も特に鉱泉権ないしは温泉権に付き、その物権性に触れた条項は存在しない。

しかし、慣習上の権利であるので判例によって物権類似の効力が認められる。

対抗要件について

判例は、明確方法として次のものを挙げている。

ア.温泉組合ないしは地方官庁の登録

イ.立札、その他の標識

ウ.温泉所在の土地自体に対する登記

登録を最低要件として、その上に立ってイ、ウの方法も併せて具備する事が鉱泉権ないし温泉権の権利対抗手段としては、今のところ一番確実なものといえよう。

  • 登録権利の確定(最終的確認)
  • 標識権利の表明(注意)
  • 登記(土地)権利基盤の保全

温泉利用権の消滅に係る補償(損失補償基準)

第22条消滅させる温泉利用権に対しては、正常な取引価格を持って補償するものとする。

近傍類似の温泉利用権の取引の事例がない場合においては、前項の規定にかかわらず、消滅させる温泉利用権に対しては、次の各号に掲げる額を持って補償するものとする。

源泉に関する権利については、次の算式により算定した額。ただし、分湯している場合においては、次号に掲げる額を控除するものとする

鉱泉地の基本価格(A)×湧出量指数(B)×温泉地指数(C)×修正係数(P)

(A)、(B)および(C)は、固定資産評価基準に定める所によるものとし、(P)は当該鉱泉地の立地条件等を考慮して適正に決定する。

分湯された権利については、前号の評価額を基準として分湯量の割合および分湯条件等を考慮して適正に算定した額

未利用の温泉利用権であって、将来利用される見込みがあり、かつその収益が不確定なものについては、その温泉利用権に関し投下された適正な費用を現価に換算した額

  • 取引事例があるもの→取引価格から比準して求める事を原則とする。
  • 取引事例がないもの→自治大臣が定める基本価額に温泉地指数と湧出量指数を乗じて価格を求める方法を採用する。

細則

第9基準第22条(温泉利用権の消滅に係る補償)は、次により処理する。

温泉利用権の消滅とは、事業の施行により温泉の利用が全面的に不可能となる場合を言う

温泉利用権、分湯された権利および未利用の温泉利用権は、次のとおりとする

  • 温泉利用権とは、温泉法に規制された温度又は物質を有している地中から湧出する温水、鉱水および水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)を利用する権利を言う。
  • 分湯された権利とはいわゆる湯口権等で通常鉱泉地の所有権ないし使用権と独立して処分される権利を言う。
  • 未利用の温泉利用権とは、自然湧出、人工湧出のいずれをとわず放任され、あるいは、利用の段階にいたらないものを言う。

人工湧出の場合は、揚湯施設等については別途補償しない

温泉利用権
取引価格から比準して求める事を原則とする。
温泉法上の温泉
摂氏25℃以上の温度又は物質を有する。

温泉権価格の評定方法

評価上の分類

  • 広義の第一温泉権

    ア.源泉地盤所有権(温泉湧出個所が存在する地盤の所有権)

    イ.採取設備所有権(温泉採取等のための物的施設の所有権)

    ウ.湯口権(湧出温泉そのものを自由に支配出来る権利)

    イ、ウ…狭義の第一次温泉権を呼び、慣習上の一種の物権に準ずる権利

  • 第二次温泉権

    温泉の給湯を受ける権利であり、一般に引湯権もしくは温泉利用権、分湯権等と呼ばれているもの。

    本件は上記のうち「狭義の第一次温泉権」の評価を行うものである。

評価方法

原価法(積算価格)『ボーリング費用等からアプローチする方法』

  • 対象源泉に付き、価格時点において新規に源泉の掘削を想定する事により、対象温泉の積算価格を試算する。
  • 対象源泉の費用面よりアプローチされた価格であり、新規ボーリングが可能で湯脈に恵まれる場合には理論的と言える。しかしながらその反面、当該価格は対象源泉が1回のみのボーリングで温泉が湧出するものとしている所に、現実の当該地域における実情を反映し得ていないという欠陥を指摘出来る。例えば、1回の試掘で温泉が湧出する事は稀であり、2~3回程度必要ならば、費用は2~3倍必要である。

固定資産評価基準応用方式による試算価格『損失補償基準第22条参照』

  • 自治省告示の固定資産評価基準における鉱泉地の評価方式を応用する事により、当方式による対象温泉の価格を試算する。
  • 積算価格に比べれば泉温、湧出量等の個別的要因をより反映し得た価格と言える。しかしながら、対象源泉の希少性等および対象源泉に影響を及ぼす諸要因を反映し得ていない場合がある。

比準価格(比準価格)『源泉取引事例よりアプローチする方法』

  • 対象源泉の近隣において旅館およびその敷地と共に売買された源泉の取引事例に付き、格差補正等を施す事により、対象温泉の価格を試算する。
  • 市場における実取引に基づくものであり、その意味では具体性、説得力に富む試算価格であると言える。しかしながら本件の場合、源泉の取引事例自体が乏しい又は、皆無である事により採用が難である。仮に他の地域の類似する事例が収集し得たとしても、源泉のみならず土地建物、営業権等を含めた旅館の取引事例に係るものである場合には、配分法に基づく価格となるため、配分の正確さが要求される。

収益方式(収益価格)『分湯を想定した場合の収益方式よりアプローチする方法』

  • 対象源泉よりの引湯開始の際して設定された権利金の現価額と現行使用料とを基準として、対象源泉に付き分湯を想定した場合における純収益の累計額と権利金相当額とを算定後合算する事により、対象温泉の収益価格を試算する。

現行契約に従い実際の当事者間合意価額および使用料に基づきその収益性よりアプローチした理論的価格である。