日照阻害補償については、その統一化は住宅の居宅についてのみ定められている。
それは、公共施設の設置によって住宅の居室の日照が阻害され、これによって生ずる損害等を填補するため、当該住居の居住者が自家自住の場合に30年分、借家人で10年分、借間人で5年分の暖房費、照明費、乾燥費等を負担する事としている。
また、日陰により農作物等に係る損害等を受け、野菜、稲作、果樹等の農作物の収穫量が通年の推定収穫量に比べて著しく減少した場合には、統一の基準等はないものの「高架橋等の設置に起因する日陰により生ずる水稲減収の損害に係る填補基準」(日本道路公団管道第41号昭和61年3月25日)の稲作に対する日照阻害の基準がある。
その他の野菜、果樹等については、

のプロセスを経て、事業損失補償として実施する事が必要となる。
白菜をはじめ、野菜にとって光は光合成エネルギー源として植物成長に不可欠である事は言うまでもなく、高架橋による日照の阻害は太陽の直射が得られず、太陽の直射エネルギーによる気温・地温の上昇日照(光の強さ)、日長(日当たり時間)に影響を与え、程度の差こそあれ農作物の生育、ひいては農作物の個体の収量、収穫時期の遅れ等の発生を否定する事は出来ない。
ただし、被害の程度は作物の種類によっても異なるし、また季節によって太陽高度が変化し、雨、気温等の他の気象条件とも係わり合って影響が発生するもので、一様とは言えない。
特に野菜は、生育期間が2~3ヵ月と短期間であるため、夏期生育の野菜については太陽高度が高く、日照阻害の影響は低いものと考える。
白菜は播種後2~3日で発芽し、播種後40~45で結球開始となる。播種後60~80日で結球増加はピークと達し、成熟期となる。葉数が増加する期間20~30日、この期間に根重の増加も著しい。球結開始期以降は充分な日照が確保される必要があり、葉の立ち上がりを促進し、かつ充分な同化量を得るためには8時間程度の日照期間が必要で、気温の面では日平均気温15℃で花芽を分化し、花芽が形成される事から10℃以下の低温は栽培上致命的である。
対象農家では日照の確保、温度の維持のために白菜についてはハウス栽培を行っている。
また、白菜の出荷については農作物の市場特性から、農業協同組合を通じ、その生産した全てを共同出荷しており、また出荷時期について他の農家と整合性を図る必要性から、出荷時期になって充分熟成していないまま出荷日をむかえ、通年であれば大きなサイズで出荷可能であったものが、日照不足によって充分なサイズにならないまま出荷する事となり、売上単価の低下、いわば収益減が発生している。
対象の畑は東経○○○-○○-○○、北緯○○-○○-○○に位置しており、日陰の状況について午前8時から午前4時までの間の日照時間3時間および6時間を春分、秋分、冬至について作成すると、
この時期の日陰はハウスの約過半数が3時間以上の日陰が発生するもので、冬期対象の畑にて栽培している農作物は白菜であるが(11月定値、4月出荷)、白菜は成長過程において日照時間が短いと同化量が減少し、葉は軟弱となるため成長が良い白菜を生産するためには充分な日照が必要である。また、日照不足のためハウス内温度が上がらない事も影響する。
対象農家の白菜は、例年4月10日前後から4月25日前後の約2週間の間に出荷するが、価格は大きさに比例するとともに、出荷日にも比例する。したがって、白菜のサイズが大きいほど、また早く出荷するほど農業収益が上がる農作物である。
したがって日照阻害による成長不足が発生した場合、サイズ、価格の両面にて農業収益減を招来するものとなる。また白菜の場合、農作物の特性からその出荷は全て農協経由である事から、出荷量の把握は過去にさかのぼって可能である。
この事から被害発生の有無についての因果関係の分析は、対象作物を白菜とし、
等を検討し、日照障害と収益減の因果関係を分析する事とする。
因果関係認定のフロー

受認限度を超えるかどうかの判定は、その被害が社会生活上受認すべき範囲を超えるか否かによる。
農作物の減収は、対象農家にとって営業収益を生み出す源泉であり、生活と営業に著しい支障をきたす事は明らかであり、受認の限度を超えるものと判断される。

対象農家の白菜の品質について出荷数量の変動に比較し、高架橋が立ち上がり日陰が生じ始めた平成○○年、そして高架橋が出来た平成○○年の生産は、2Lサイズ(1ケースに6個詰)がてい減、Lサイズ(1ケースに8個詰)がてい増で成長が悪化傾向を示している。
一方、農業協同組合へ共同出荷している同様な農業形態の他の9農家についての生産傾向では品質に大きな変動はなく、対象の白菜生産に平成○○年以降悪影響が発生している事は明らかである。
また、気象条件について、年度によって変動はあるものの、気象、日照に関し平成○○年~平成○○年の間特に野菜の生産に大きな影響を及ぼすような異常な年は認められなかった。
