平成13年1月より、当社品質マネジメントシステムを運用開始して3ヵ月目の頃。年度末でもあり、仕事もピーク。疲労もピーク。
「何でこんなに忙しい時に改定するんや。」
「顧客重視って言うならISO会議出てるより仕事やな。」
「何でいちいちそんな文書作らなアカンの?」
「これまでの内容とそう変わらんのやったら今までの書式でもええんと違うか?」
「なに?部長の承認がいる?これは自分の判断でよかったやないか。」
「そんな文書知らんでぇ。」
数々のワーキンググループ(WG)への嫌味やISOへの不満も聞かれた。この時期にうまくシステムが回らんようじゃ重いシステムかもしれん。そういう思いが頭をよぎる。WGによる業務手順のシュミレーション、見直しにつぐ見直し。しかし、4月の内部監査に、間に合うだろうか。
平成13年4月6日、18日 内部監査の実施。無理やりひとまず完成にこぎ着けた品質マニュアル、各部業務マニュアルおよび品質記録類、内部監査への突入。ここで各部のISOを対する取り組みの違い、理解度の違いが歴然となった。品質文書を持ち歩き、暇を見つけては理解に努めていた部門長は難なくクリア。当然のごとく部内での指導力も増すというもの。これらの内部監査の結果は、専務(経営者)へと飛ぶ。
5月10日 マネージメントレビュー。ここからが、逆鱗のはじまり…。それもそのはず、当社の品質マニュアルのもと、たたき台は専務自らが作成。当初、ISOワーキンググループを引っ張ったのは専務と品質管理室長。現状を目の当たりにして、専務は自分の熱意が隅々まで浸透していない状況にさらに発奮。幹部クラスへのダイレクトメール「やる気のないやつは新日を去れ!」ISO規格理解度を判定する○×問題、記述式問題の全社員への実施義務づけ。不合格者に対する重点教育の実施を各部門長に義務づけた。部員の理解が足りないのは、部長が教えていないからだ。以後、各部競うように連日連夜の勉強会。しかし、そう簡単に部間の開きは埋まるものではない。
5月23日 予備審査リハーサル1(コンサルA氏、B氏による。)
【審査にて】経営者は審査員から指摘事項なし。完璧。品質管理室、軽微な不適合1点指摘。まずまず。企画営業部、軽微な不適合3点指摘。もう少し。補償調査部、重大な不適合2点、検証を実施すべきタイミングの理解不足を指摘。あわせて軽微な不適合5点指摘。ズタズタ。
【オフィスツアーにて】技術部、重大な不適合1点(規格を見た事がないという不届き者あり)、全般的な理解不足を指摘。ここもズタズタ。事業部、リマーク1点指摘。まずまず。
【審査員総評】技術部と補償調査部は理解不足だが、品質マニュアルをはじめとして各部業務マニュアル(手順)は独自性があり評価出来る。このようなマニュアルは、市販の本で見た事がない。面白いとの事。この総評には、品質管理室長もニンマリ、今までの苦労が少しは報われたか。5月下旬、ISO規格理解度判定試験の実施。○×問題40問。JISQ9001の理解25問・各業務マニュアルの理解15問。(各2点)記述式問題5問。(各4点)100点満点中70点までが合格、満たない者は重点教育を強制的に受ける。
5月23日の予備審査リハーサル1以降、毎日18時にもなると、会議室の予約が取れない状況。各部規格の勉強会、品質マニュアルおよび業務マニュアル等品質文書類の部員への教育、各部の追い込み、意気込みが会議室の予約状況からも感じられるようになってきた。8月の本審査に間に合うかもしれない。
6月8日 予備審査リハーサル2(コンサルA氏、C氏による。)審査では、軽微な指摘、およびリマークはあったものの、各部とも前回審査時より理解の度合いが数段進んだと評価を受けた。それは、クレーム情報に対する処理システムが機能し出した事によっても実感出来た。
6月18日、19日 予備審査(審査機関A氏、C氏他3名による。)この予備審査の目的は、当社の理解・考え方・発展のさせかたが規格に適合しているか、漏れがないかの確認。そして当社を審査員の先生方に知って頂く事。結果、確かに多少のミスや考え方の相違等がいくつかあったものの、これはいけるかもしれないという感触をつかんだ。審査機関の先生方は、ISO認証取得出来るように、さらには、もっと良いシステムになるように接して下さっている。決して落とそうとしているのではない。
6月27日 WGによる社内副会合。ミスの修正、考え方の統一等WGのすりあわせを実施。大筋はやはり間違っていなかった。そもそも自分達の業務手順を分析する事によって、改善につぐ改善を重ねてきた品質文書類なんだから、当社のシステムが回らないはずはない。ここへきて、WGメンバーに多少安堵感が広がる。
7月25日午後 社内にて本審査リハーサルとしてマネジメントレビューを行う。各部で収集・分析したデータを基に、本審査に向けた最後のすりあわせを行う。そして、トップ自ら意思統一を図る。ISOの認証取得は通過点にすぎない。我々の目的は、迅速・ていねい・確実に業務を遂行する事によって、顧客満足度を高める事である。また、同時に仕事をする喜びを知る事であると。そして、それに伴い受注が拡大し売上が伸び、社員が潤えばいいと。
8月6日、7日 本審査。我々はきっと認証取得する。