近年、我が国の伝統的な企業が事故や不祥事を起こしています。これらの問題を起こしている企業に共通しているのは、業界で伝統があり世間の評判が高い事です。では、なぜこのような優良企業で不祥事を起こしたのでしょうか。
報道などから、不祥事の原因を推察すると過去の経験からこのくらいは大丈夫とか、これだけやっても今までは良かったなどの慢心の一言に尽きると思います。しかし、これらの不祥事を起こしたのは大企業だけだったのでしょうか。それは違うと思います。大企業の場合、消費者や住民への影響が大きくマスコミが大きく捉えたからに他ありません。中小企業が少しぐらいの不祥事を起こしても、マスコミが取り上げる事はありません。創業からの頑張りで業績が落ち着いてくると、会社は創業時のような活力が低下してきます。そして慢心が充満し始めます。こうなると後は衰退していくのみです。
慢心は人の心の問題です。それでは、どのようにすれば慢心しないのでしょうか。「私たちは、お客様から給料を頂いているのだ」と言う意識を持つ事であります。ISO9001:2000は、顧客重視を実践するガイドラインです。この国際規格の要求事項を実践する事が会社ぐるみで顧客志向に対応する事です。ただし、顧客の奴隷になるわけではありませんので、そこのところを取り違えないようにして下さい。
先日、入社1、2年目の社員にアンケートした所、ISOに関しては「認証を受けている事だけを知るだけでいいのでは」と言う意見がありましたが、それは大きな間違いです。ISOは、全社員で取り組むものであって後で説明しますが、チェックリスト等品質文書に基づいて業務を進める事により、手戻りや抜けをなくし不必要な経費や労力を削減する事にあります。また、ISOの重要なポイントとして「トップマネジメントつまり経営責任者が方針を文書化して全社員に伝達、理解させる」事があります。毎年7月に外部の定期審査がありますが、その時オフィスツアーといった現場調査があり、その時方針が周知されているか社員に質問があります。答えられなくて周知されていないとなると、ISOの要求事項が満たされていない事となり、認証を取り消される事になるかもしれません。また、実際に業務を遂行する上での共通のルールが明確になっていないと責任が明確でなくなり、組織がうまく機能せず発展が期待出来ないと考えられます。
ですから、新入社員といえどもISOの内容を知っておく必要があり、このような教育を行っているのです。ただし、私の言っている事が絶対ではなく、新しい方の新鮮な意見を取り入れる事も重要ですので、今後しっかり勉強して考えて意見を下さい。
ちなみに、6月と11月にISO理解度試験を実施していて合格点に達しない人は追試があり、それでも合格しない人はボーナスがカットされますので、しっかり勉強をしておいて下さい。
日本工業規格の事をJIS、国際標準化機構の事をISOと言いますが、ISOと聞いて何か思い当たるものはありますか。
このように物を標準化する事でどんなメリットがあるのでしょうか。
1番は、互換性の確保。2番は、多様性の制限。3番は、仕様の明確化。4番は、安全性の確保。
これらは、全て買う人使う人のためのものです。そして今日の本題であるISO9001は、国際標準化機構のうちの顧客満足のために企業が備えるべき要件を明確に規定したものなのです。お客様が製品を買う時に、顧客の満足を考えて作られたものかどうかの判断に使えるもので、ISO9001があれば一応安心して買えるものだと判断出来るわけです。
このISO9001の認証を取得する事によって、お客様が当社の作った製品、つまり設計図、調査報告書、測量成果などを安心して買ってもらえる事になります。では、顧客満足とはどのような事と考えますか。私たちの仕事は、単品生産・手作り生産であって顧客の注文は、一時期に集中します。これはレストランに似たところがあります。
みのもんたが司会をしていた「愛の貧乏脱出大作戦」と言うテレビ番組を覚えていますか。一度ぐらい見た事があるかと思います。これは、店がはやらなくて赤字続きの店の主人に修行をさせ、店を改造して繁盛させようとするものでした。出てくるお店でお客がこなかった理由、改善して繁盛した理由、一時的にうまくいったが、結局だめだった、など総合的に考えると、
であります。
この中で、特にお客の事を思っていないについてですが、いくらうまいものでも、お客が注文したものと違うものであったりしては、お客様に満足してもらえません。
しかし、注文したものについてお客の想像や期待を超えるよう努力する事は、もう一度注文をもらうためには、重要な事です。顧客のニーズや期待という点に配慮してこそ、顧客満足であり、良い品質である事になります。品質マネジメントの考え方は、システムを構築し、文書化し、実行し、維持し、かつ継続的に改善する事です。つまり、P(plan)計画D(do)実行C(check)結果と分析A(action)反省と改善というサイクルをまわして業務を遂行する事です。これは、会社全体だけでなく各部、各個人の作業と範囲が小さくなっても同じ事ですので、頭の中に入れておいて下さい。
ISO9000入門を読ん出来て頂いたと思います。概要はこれにかかれており、正式な文書は、今から配るISO9000:2000基本および用語やISO9001:2000要求事項に書かれてあります。これは、どのような業種にも対応出来るように書いてあるので、抽象的でわかりにくいと思います。しかし当社のシステムは、これを基に構築してあるのでこれについての細かい説明は省きますが、必ず読んでおいて下さい。
ISO9001:2000の要求事項には、何をしなければならないかは書いてありますが、どのようにしてやるかは書いてありません。どのようにしてやるかは自社のやり方で、自社で決めればいいのです。そして、自社のやり方を示したものがいっしょに配った
です。
品質マニュアルの19ページを見て下さい。各部の業務マニュアルや帳票があって、それらの位置付けが載っています。これら全てが品質文書です。あなた方にとって必要な文書はこちらの方です。仕事を進める上で必ず必要ですので覚えなくてもいいですが、覚えてしまうほど読んで下さい。自分で決めた事だから必ずやらなければなりません。ただし、構築したシステムを運用していって、先ほどのPDCAで決めた通りやるのが難しいとなれば、その部分を改善して、使いやすいシステムとしていけばいいのです。そして、当たり前の事を当たり前にきちっとする習慣作りが大切です。
先ほども言いましたように、ボーナスのかかった試験があります。品質マニュアル、共通規定集、各部の業務マニュアルは、覚えてしまうぐらい読んで下さい。
では、業務を実施していく上で具体的にはどのような事をしていくかを説明します。
仕事の流れの大筋に添って話します。具体的の事は、各部に行ってから聞いて下さい。
半年に一度内部監査という、よその部の社員による監査があります。詳細は、共通規定集に載っています。
ここでは、文書やマニュアルについての質問などがあり、ISOの運用状況のチェックがあります。文書はきちっとまとめておいて下さい。忙しいと、これらの文書をついつい後回しにして、まとめて作るなどという事が起こるかもしれませんが、そんな事になると、世間で良く言われる、ISOは負担やお金がかかるばかりでメリットが無いという事になりかねないのです。品質計画書やチェックリストを活用して抜けや手戻りの無いようにして効率良く業務を進めて欲しいと思います。
マニュアル、業務フローやチェックリストなどが使いにくいとかあれば、どんどん直して改善していって欲しいと思います。これらは、基本的には、自分達で作ったものですから。
人間は、どんな人でも間違いを起こします。でも、同じ間違いを続けると信用がなくなります。このため、ISOにも顧客からのクレームや検査した時の不適合が発生した時、是正処置や予防処置があります。
一人の失敗をみんなに知ってもらい、同じ間違いを他の人が起こさないためです。かっこ悪いので、ついつい隠して自分で処理したり、内緒にしていたりすると事が大きくなり、重大な問題になりかねないので、お客様からのクレームや失敗は会社が良くなるためだと思って、どんどん公表して欲しいと思います。これからは今までと違って、固定した給料がもらえます。もらっていた人も居るかもしれませんが、給料をもらう以上プロであり、皆さんもプロ意識を持って仕事について下さい。そしてプロは100満点を取って当たり前で、99点以下は0点だという事を肝に銘じて頑張って下さい。
ただし、仕事は試験とは違いますから一人で解決する必要は無いのです。どんな参考書を使っても誰に聞いてもいいのですが、完全なものを目指さなければなりません。そして、人生や仕事の先輩になんでも報告、連絡、相談する事が大事です。定年が60歳とすると今から40年近く仕事をしていくわけですから、学生時代の授業中みたいにピリピリと神経を使って…無かったかもしれませんがあまり肩肘張らずに、あせらず、あわてず、じっくりと仕事をしていって下さい。そして、これから社会人としての長い人生を過ごしていって欲しいと思います。
私たちはお客様から給料をもらっているプロなのだという事と「報告、連絡、相談」の報連相を忘れずに。