かつて日本は「豊富できれいな水に恵まれた国」で、水道水はもちろん、井戸水でも手を加えずにそのまま飲めました。ところが1960年代の高度成長期以降、都市部への人口集中や工業化の進行に伴い、工場や家庭からの排水が増え、河川や湖沼などの水源が汚染されました。原水が汚染されたため、消毒による塩素の臭いであるカルキ臭などが発生するようになりました。日本の水道水は、必ずしも安全でおいしい水とは言えなくなってきているのが現状のようです。
気になる日本の飲料水の実態はどのようになっているのでしょうか。
年間取水量163.0億m³のうち一番多いのがダムからのものです。次に平成15年度の水道水源の状況を示します。
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| 水道水源の種別 | 規模別の水源構成比 |
| 上水道+用水供給事業の合計 | ※用水供給を除く |
日本水道協会より
水質の良くない下流域から取水している大都市圏では、浄水場で浄化・殺菌しなければ、飲料水とはなりません。
通常、浄化方式には、「急速ろ過(きゅうそくろか)方式」と「緩速ろ過(かんそくろか)方式」があります。ただし、近年では、膜ろ過(まくろか)等を含む高度浄水処理方式も採用されてきています。次に急速ろ過と緩速ろ過の違いを示します。
以上のため、原水の水質が良い事と、広い面積のろ過池が必要となります。次に浄水方法別浄水量を示します。

日本水道協会より
原水の水質が悪化してきている事から水道水の処理費用も増加してきています。次に平成15年度の給水原価(183.36円/m³)の内訳と水道設備と維持管理費用の推移を示します。

日本水道協会より
原水の水質が良くない東京都や大阪府では、高度浄水処理施設を導入しています。このように日本の大都市圏では、高度浄水処理が主流になってきたようですが、やはり、安全でおいしい水は、良質な原水+広い土地の必要な「緩速ろ過による水道水」でしょう。
この緩速ろ過による水道水を全国規模で実現する事は、不可能に近い事です。しかし、身近で安全なおいしい水が飲みたいと言うのは、国民一人一人の願望です。臭いがする、まずい、危険性があるなどとして「水道離れ」が多くなっている昨今、改めて水に対する見直しが迫られているのではないでしょうか。ただ水道水を批判するだけでなく、安全でおいしい水を飲むために、水道原水の状況を考え、国民一人一人が出来る限り汚さないよう、協力する必要があるのではないでしょうか。
参考文献:水のおはなし 安見昭雄